コロナ以来6年振りに、海外一人旅を計画。ドイツはベルリン、ライプツィヒ、ドレスデン、ミュンヘンと東半分しか行ったことが無かったので、フランクフルトを中心に西半分を。3月11日から31日までの3週間に、3つのオペラ劇場で8つのオペラを見てきました。
何を見てきたか
戦前からの趣あるシュトゥットガルト歌劇場で
- 3月12日(木) ベッリーニ:《夢遊病の女》
- 3月13日(金) ビゼー:《カルメン》
- 3月14日(土) ヴァーグナー:《ニュルンベルクのマイスタージンガー》
2階がガラス張りのフランクフルト歌劇場で
- 3月20日(金) プッチーニ:《蝶々夫人》
- 3月28日(土) ヴァーグナー:《トリスタンとイゾルデ》
- 3月29日(日) ベンジャミン:《Written on Skin》
さらに、マーラーも指揮していたハンブルク歌劇場で
- 3月22日(日) ヴァーグナー:《ローエングリン》
- 3月25日(水) ヴェルディ:《イル・トロヴァトーレ》
![]() |
右上から時計回りにシュトゥットガルト歌劇場、フランクフルト歌劇場、 ハンブルク歌劇場と道路沿いの壁にあったマーラーのプレート |
演出について
どの演目も(有名な演出家の有名なプロダクション)、抽象的な舞台装置でした。《トリスタン》は白い壁とドアくらいだったし、《夢遊病の女》は小学校の教室みたいなセット。《ローエングリン》も。
それよりも驚いた(困った?)のは、衣装。歌手たちが自分たちの手持ちの中から、それぞれちょっとよそ行きを選んできた?という感じの普通の服を着て歌う舞台が多かった(《夢遊病の女》《蝶々夫人》など)のは、経費節減?
一方、《マイスタージンガー》のマイスターたちの白っぽい背広や、《ローエングリン》のスカート&半ズボン姿は、このオペラのために誂えたとしか思えません。もちろん、着慣れない昔風の長いドレスやかつらが必要無い方が、歌い手さんたちがずっと楽だということはわかりますが。
![]() |
《ローエングリン》のカーテンコール(左上、2026年3月22日、ハンブルク歌劇場)と 《トリスタンとイゾルデ》のカーテンコール(同3月28日、フランクフルト歌劇場) |
頭の中にクエスチョンマークが浮かぶ演出は他にも。《カルメン》では全身黄緑色の男の人が舞台を動き回り、ときには登場人物たちとともに丸い赤い鼻を付けたりしていました(心象風景を表していたのでしょうか?)。
《トロヴァトーレ》では、使用人(の服を着た人)たちがジプシーであることを、2幕まで見てようやく理解しました。ルーナ伯爵自らマンリーコをピストルで撃ち殺し、それが弟だと知って同じピストルで自殺する幕切れ。
《マイスタージンガー》の1幕3場で、何人かのマイスターはタバコや葉巻を吸っていました。それと、この演目だけ休憩時、観客全員が外に出なければなりませんでした。ドアが開いて客席に戻ったら、舞台上に既にキャストがいて、3幕が始まるまでかなり長い間、身動きせずに待機していました。中央に座っているのがザックス役、手前右側で横になっている黒い服の男がベックメッサー役。
| 《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第3幕が始まる前の舞台(左上)と、 カーテンコール(2026年3月14日、シュトゥットガルト歌劇場) |
最後に見たジョージ・ベンジャミンの《Written on Skin》は、支配的な夫が、自分が雇った写本装飾師と不倫した妻に、殺した写本装飾師の心臓を食わせるという筋書きにふさわしい(!?)、さぞかし歌うのが難しいであろう声楽パートと同様に大変そうなオーケストレーション[注1]。
でも、その現代オペラも含めて3箇所のどのオーケストラも気負いがなく、自然でこなれた音楽でした。中でも《マイスタージンガー》冒頭のドミソドの和音がなんとも柔らかく、劇場全体の空気がそれに包まれるような響き合うような、不思議な感覚を味わいました。
何よりも、主役級だけでなくほぼ全ての歌い手たちの、圧倒的な声量! 90年代、留学してボストン交響楽団を聴いたとき、金管楽器の音量に驚いたことを思い出しました。食い物が違うせいかなあと思ったものですが、日本人と欧米人の差はまだ存在するようです。
4月に新国立劇場で《椿姫》、東京文化会館(東京の春音楽祭)で《ドン・ジョヴァンニ》を見ました。日本にいても質の良いオペラを楽しむことができますし、日本語の字幕は本当にありがたい! それでも、また機会を見つけてヨーロッパの歌劇場でオペラを見に行きたいと思います。
注
- 直訳すると「皮膚に書かれた」という意味ですが、羊皮紙のような動物の皮に書かれた中世の物語というような二重の意味を持つようです。2012年初演。
- Richard Wagner, 1871, by Franz Hanfstaengl.




0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。