106 クリスマスに聴きたい音楽:トレッリのクリスマス・コンチェルト

2025/12/24

ヴァイオリン クリスマス バロック音楽

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以前、聖フィルコラムで毎年12月にアップしていた「クリスマスに聴きたい音楽」。今回はトレッリのクリスマス・コンチェルトをご紹介します。

クリスマス・コンチェルトと言うと、「ヴァイオリンの大天使」というニックネームで知られるアルカンジェロ・レッリ(1653〜1713)の作品が有名(op. 6, no. 8)。でも、彼だけがクリスマス・コンチェルトを作ったわけではありません。もう少し後の世代のフランチェスコ・マンフレディーニ(1684〜1762)や、コレッリの弟子ピエトロ・ロカテッリ(1695〜1764)なども、クリスマス・コンチェルトを作曲しています。

ジュゼッペ・レッリ

そのマンフレディーニのヴァイオリンの師であったジュゼッペ・レッリ(1658〜1709)は、ヴェローナ生まれ。1686年、器楽合奏が盛んであったボローニャのサン・ペトローニョ大聖堂でヴィオラ奏者として雇われ、1695年(か961月)までそこで活躍します。

その後、ウィーンでゲオルク・フリードリヒ2世に仕えましたが、1699年にボローニャに戻り、当地で亡くなりました。バロック・コンチェルト、とくにソロ・コンチェルトの発展に寄与した作曲家です。

クリスマス・コンチェルト

トレッリのクリスマス・コンチェルトは、Concerto grosso à 4, in forma di Pastorale, per il santissimo Natale「最も聖なるクリスマス(降誕祭)のための、パストラーレ形式による4声のコンチェルト・グロッソ」と書かれた op. 8, no. 6。全部同じ調の、緩―急―緩―急の構成は、バロック時代にたくさん作られた「教会ソナタ」の形式です。

4小節の Grave に続く、中庸なテンポで6/8拍子の Vivace が、パストラーレ。

パストラーレ

バロック音楽におけるパストラーレ(牧歌) は、持続低音の上に3度で和声付けされた旋律が乗る、中庸なテンポの複合拍子(6/8, 9/8, 12/8など)の音楽。

クリスマスの時期にローマなどで、ピッフェラーリ(直訳すると「笛吹きたち」)と呼ばれた民俗楽器奏者たちが、バグパイプ(イタリアではザンポーニャ)やピッフェロ(リード管楽器)で奏していた音楽を想起させます

外で羊の番をしていた羊飼いたちは、星に導かれて、厩で生まれたばかりのイエス・キリストに会いに行きます。羊飼い→野外→牧歌(パストラーレ)という連想も?   コレッリのクリスマス・コンチェルトでは、パストラーレが最後に置かれています。

静かで美しく、厳かなトレッリのクリスマス・コンチェルトをお楽しみください。世界中の人々に、平和で楽しいクリスマスが訪れることを願いつつ。

  • Portrait of italian composer Giuseppe Torelli (1658-1709). Unknown author, around the 1700. https://youtu.be/ZG3tuRJrDvo?si=xehOmO2OS0pohe6z Concerto Köln.

演奏会情報

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聖光学院管弦楽団第33回定期演奏会

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