114 イーゴリ公ってどんな人?

2026/06/23

オペラ ボロディン ロシア5人組

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次回の聖フィル定演では、ボロディンのオペラ《イーゴリ公》の序曲を取り上げます。数年前別の団体に、同じオペラの中の《ダッタン人の踊り》(として知られてきた曲)のプログラム・ノートを頼まれて調べたことがありました。イーゴリ公って、たしか実在した人物だったはず。おさらいすることにしましょう。

オペラ《イーゴリ公》とは?

ロシア五人組の一人アレクサンドル・ボロディンAlexander Porfiryevich Borodin, 18331887)が1869年夏に着手したオペラ。未完のまま亡くなったので、リムスキー=コルサコフグラズノフが「完成」させました。中世ロシアの叙事詩『イーゴリ軍記』を題材にしています。

イーゴリ公とは?

ウクライナ百科事典 Internet Encyclopedia of Ukraine 英語版によると[注1]:

イーホル・スヴャトスラヴィチ(Ihor SviatoslavychIhor Svjatoslavyč]、11511202[補足1]は、ノヴゴロド・セヴェルスキー公(1178–1198)およびチェルニーヒウ公(1198–1202)であった[補足2]。 

チェルニヒーウ公スヴャトスラフ・オリゴヴィチの息子として生まれ、1169年には、アンドレイ・ボゴリュブスキーがキーウ大公ムスチスラフ・イジャスラヴィチに対して行った戦争に参加した[補足3]。南ルーシ[補足4]にかけてクマン人[補足5]の略奪的な襲撃により、彼は他の諸公とともに遊牧民との戦いに加わることを余儀なくされた。  

1185年、彼はキーウ大公に知らせることなく遠征を組織した。彼の軍は当初勝利を収めたものの、その後カヤラ川で包囲されて敗走した。イーホルは捕虜となったが、のちに脱出に成功した(図1参照)。 

この出来事は叙事詩『イーゴリ軍記』(Slovo o polku IhoreviThe Tale of Ihor's Campaign)の題材となっている。イーホルの敗北後、クマン人はペレヤスラフ地方を荒らし回った。

図1:ノヴゴロド=セヴェルスキー公イーゴリのポロヴェツ人捕囚からの脱出          『イヴァン雷帝の絵入り年代記集成』(16世紀)のミニアチュール 

補足

これではよくわからないので、もう少し調べました。以下補足。

  1. イーホルは、日本ではイーゴリとも表記されます。115143日と生まれた日付が入った資料もありました[注2]。生まれた場所は、キエフ大公国の都市ノヴゴロド・セヴェルスキー(ノーウホロド・シーヴェルシクィイ)。
  2. 1198年に称号が変わったということですね。
  3. イーゴリは11693月、アンドレイ・ボゴリュブスキーがキーウ大公ムスチスラフ・イジャスラヴィチ(ムスチスラフ2世、図2参照)に対して行った戦争(アンドレイ自身は参加せず、息子に指揮を取らせた)に、諸侯の一人として参加。2日間の包囲によりキーウは陥落し、その後3日間にわたって市内で徹底的な略奪・破壊が行われました。一般市民だけでなく、教会や修道院の財産も奪い取られ、キーウは灰燼に帰しました。
    図2:ムスチスラフ・イジャスラヴィチのキエフ入城(1159年)
    『イヴァン雷帝の絵入り年代記集成』(16世紀)のミニアチュール

  4. ルーシ(キエフ・ルーシ)は、9世紀終わりから13世紀半ば東ヨーロッパに存在した、最初の東スラブ人国家。
  5. クマン人は欽察人、ポロヴェツ人とも。
  6. イーゴリは1185423日に、弟、息子、甥とともにキーウ大公に知らせることなく遠征を行いました。51日、日食が起こります。彼の軍は当初勝利を収めたものの、その後包囲されてイーホルは捕虜に。のちにポロヴェツ人の協力で脱出に成功し、帰国しました。
1185年といえば、日本では壇ノ浦の戦いで平家が滅亡した年ですね(現在の暦で425日)。『イーゴリ軍記』については改めて書きます。

  1. https://www.encyclopediaofukraine.com/display.asp?linkpath=pages%5CI%5CH%5CIhorSviatoslavych.htm 補足も含め、https://www.encyclopediaofukraine.com/default.asp を参考にしました。  
  2. ウィキペディア英語版。一方、没年は1201年か1202年と書かれていました。

  • 1993年にボロディン生誕160年を記念して発行されたロシアの1ルーブル記念硬貨

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聖光学院管弦楽団第34回定期演奏会

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