風雨の中、聖フィル第26回定期演奏会にきてくださった皆さま、どうもありがとうございました。初めて取り上げたイベールとプーランク、いかがでしたでしょうか。プーランクは聴いていると楽しいのに、拍子や調の変化が自由自在で演奏するのは大変でした。
一方、最後のブラームスの交響曲第3番は、正統的な交響曲。まさに正反対の音楽の組み合わせでした。それにしても、プーランクの後にブラームスを弾くとホッとする(私だけなく他の人も同じようなことを言っていました)のはなぜ??
演奏会後のコラムはアンコール曲を取り上げるのがお約束。今回はブラームスのハンガリー舞曲第6番です。
ハンガリー舞曲集はピアノ連弾用だった
ブラームスが1848年に出会い、後に伴奏者として演奏旅行に同行するハンガリー出身のヴァイオリニスト、エドゥアルド・レメーニ(1830〜98)。彼に紹介された「ジプシー(ロマ)・スタイルの音楽」をもとに出版したのが、ピアノ4手連弾のためのハンガリー舞曲集第1集です。
5曲ずつ2分冊として1869年に出版。これが大好評で、ブラームスに経済的安定をもたらしました。近代的なピアノが完成期を迎え、家庭に普及した19世紀後半。ハンガリー舞曲集のような、少しエキゾティックで難し過ぎず簡単過ぎない連弾曲集は、需要が高かったのでしょう。1872年には、全10曲をピアノ独奏用に編曲しています。
ブラームス:ハンガリー舞曲第6番ピアノ4手版
翌1873年にブラームスは、演奏会で指揮するために第1番、3番、10番をオーケストラ用に編曲。これも評判が良く、(ブラームス本人は他の編曲はしませんでしたが)他の音楽家によるオーケストラ版が作られます。
第1集が大好評だったため、1880年に同じくピアノ連弾用ハンガリー舞曲第2集として、6曲と5曲の2分冊を出版。この11曲全ても、ブラームス以外の音楽家によりオーケストラ編曲されました。
第6番パーロウ編曲版
ところで、第1集第6番には複数のオーケストラ版がありますが、今回演奏したのはドイツの作曲家アルベルト・パーロウ(1824〜88)の編曲。1880年までプロイセン軍の音楽監督を務め、その後オーケストラの指揮者もしています。パーロウは原曲の変ニ長調を半音上げて、ニ長調で編曲しました。ピアノは黒鍵が多い調の方が弾きやすい(変ニ長調はフラット5つ)のに対して、弦楽器はニ長調が最も弾きやすく、響きも良いからでしょう。
というわけで今回は、ニ長調のイベールで始まり、同じニ長調のアンコールで終わる、調的に収まりの良い(!?!)演奏会になりました。
注
Johannes Brahms portrait 1889. https://youtu.be/fYjx6eEsgYM Duo d'Accord
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